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傷害|罪名ガイドQ&A

傷害

暴行罪で逮捕されましたが、途中から傷害罪で勾留されています。このようなことはよくあるのでしょうか?

傷害罪として刑事処分をするには、被害者の診断書が必要です。この診断書がない場合には、暴行罪として処分されます。事件直後は診断書を取っていなかったために暴行罪として処分されていたものが、診断書を取ったことによって傷害罪に切り替わるということはよくあります。

相手と喧嘩になり、自分の方も殴られて怪我を負ったのに、相手から一方的に被害届を出されました。今後どのような対応をしたらよいでしょうか?

双方が同様の暴行を行った場合でも、一方からしか被害届が提出されていなければ、
喧嘩両成敗とはせず、先に被害届を出した者を被害者、他方を加害者として警察が扱う傾向はあります。
こちらも怪我を負っているのなら、医師の診断書をとって警察に被害届を出すことが考えられます。
一方が加害者、他方が被害者という立場よりも、示談交渉を有利に進められることが期待できます。

人の髪を根元から全て切る行為は傷害罪が成立しますか?また生えてくるものですし、外見上の変化はそれほどないように思うのですが。

傷害罪が成立します。

人の髪は必ずしも身体の一部とはいえませんが、全てを不当に剃去することはその健康状態の不良変更を生じたといえるため、傷害と認められています。

人を引っ掻いて皮膚の表面を傷つけることも傷害となりますか?このような大したことのない傷でも傷害罪が成立しますか?

傷害罪が成立します。

例え表皮を剥離してしまっただけだとしても、傷害が認められることがあります。
怪我の程度が軽い場合には、傷害か暴行かが問題となります。
明確な基準はないものの、「日常生活上看過される」ものかどうかをメルクマールとする裁判例が多いようです。

【傷害を肯定した例】
  • 毛根からの陰毛の引き抜き
  • 安静加療4,5日を要し、被害者が疼痛を訴えた処女膜裂傷
  • 一時的な失神
  • 入墨
  • 消退まで10日間かかったいわゆるキスマーク
【傷害を否定した例】
  • 被害者が特に痛みを訴えず、治療を行わなかった全治3日間を要する左耳部挫傷
  • 本人が傷害として意識せず、別段の治療を施さず3,4日で自然治癒した鼻部腫脹

強い衝撃を与えて人を失神させてしまいました。2時間後に失神から目覚めましたが、失神させることで傷害罪が成立しますか?

傷害罪が成立します。

判例では生理的機能の障害がある程度継続することが必要であるとし、30分程度の短時間の失神では傷害とはいえないとされていますが、長時間失神させることは傷害にあたるとされています。

嫌がらせの電話をし続けた結果、相手が精神衰弱症となった場合は傷害罪が成立します?電話をかけただけでは傷害罪は成立しないのではないでしょうか。

傷害の可能性を認識していれば傷害罪が成立します。

例え人の身体に対する有形力の行使でなくても、生理的機能が侵害されているため傷害になります。

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連日朝から深夜まで大音量を出し、隣家に対し騒音を発生させて故意に精神的ストレスを与えた場合は傷害罪は成立しますか?

傷害罪が成立します。

騒音は直接的な有形力の行使とはいえませんが、騒音によって慢性頭痛症、睡眠障害、耳鳴り症等の傷害を与え生理的機能を害することは傷害と認められています。
奈良の騒音おばさん事件では、最高裁(上告棄却)まで争われ、最終的に懲役1年8か月の実刑判決が言い渡されています。

人を落とし穴へと誘導し、その人が落ちて怪我をした場合は傷害罪が成立しますか?

傷害の意図があれば傷害罪が成立します。

人の身体に対して直接の有形力は行使しておらず、相手の行為を利用したものであっても傷害と認められることがあります。

飼い犬を通行人にけしかけて、飼い犬によって咬傷を負わせた場合、傷害罪が成立しますか。人が怪我をさせたのではなく、動物が怪我をさせたものなので傷害罪にはならないのではないですか。

傷害罪が成立します。

飼い主がけしかけたことによって飼い犬が咬みつき怪我を負わせているので、道具を使って怪我をさせた場合と同様に考えられます。

相手をけがさせるつもりはなく、相手を少し痛めつけてやろうとして人を殴ったところ、相手の腕が骨折してしまいました。傷害を負わせるつもりがなくても傷害罪が成立しますか?

傷害罪が成立します。

有形力による傷害では、その故意は必要とされません。暴行することに対し認識があれば足り、傷害と判断されます。

たまたま2人で一緒に人を殴り怪我させましたが、そのけがが2人のどちらの行為によるものなのかわかりません。このような場合、どちらが罪に問われますか?

2人とも傷害罪が成立します。

そのけがが自分の行為によるものでないと証明できない限り、2人とも傷害罪になります。
2人以上の者が同じ機会にした暴行から傷害が発生した場合には、どちらの行為から発生した傷害かが分からなくても、自分の暴行行為から傷害が発生していないとの証明がない限り、2人とも傷害結果に対して責任を負うことになります。

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知人が人に石を投げつけていたところを通りかかり、途中から自分も一緒に人に石を投げつけて怪我をさせました。被害者のけがは私が加わる前に生じたものか、私が加わってから生じたものかわかりません。このような場合も、私は傷害罪になりますか?

2人とも傷害罪が成立します。

最初から投石していた者の行為が傷害とならないことは不合理であるため認められません。また、途中から2人で投石した行為についても最初の投石と同一の機会になされた傷害行為と認められます。2人以上の者が同じ機会にした暴行から傷害が発生した場合には、どちらの行為から発生した傷害かが分からなくても、自分の暴行行為から傷害が発生していないとの証明がない限り、2人とも傷害結果に対して責任を負わなければなりません。

暴行するつもりで人を殴った結果、人を殺してしまった場合は傷害致死罪となりますか?

傷害致死罪が成立します。

人を殴る行為について、怪我をさせるつもりすらなかったとしても、暴行を加える認識があれば傷害致死罪が成立します。

突き飛ばした人が第三者に接触し、そのはずみで第三者が転倒して死亡してしまった場合も傷害致死罪となりますか?

傷害致死罪は成立しません。

傷害致死罪では暴行や傷害をした人について死亡が発生することを要するため、第三者に死亡の結果が生じても傷害致死罪にはなりません。

上級生の新入生に対するいわゆる「しごき」が伝統のようになっていた部活動において、新入生も「しごき」をある程度覚悟していた場合、行き過ぎた「しごき」によって新入生が死亡するに至ったとしても、「しごき」を覚悟していれば傷害致死罪にはなりませんか?

傷害致死罪が成立します。

この場合の新入生が覚悟していた、言い換えれば同意していたのは通常の暴行、せいぜい多少の怪我に対する承諾に過ぎず、生命の危険についてまでは同意を与えたとは到底考えられません。致死傷の結果については同意がなかったといえるので、傷害致死罪が成立します。

3人で人を殴る傷害行為が行われている際に、たまたま通りかかり「やれやれ」と3人を声援した場合、罪に問われますか?

その行為によって傷害行為の勢いを助けたという危険性に鑑み、傷害現場助勢罪が成立し、罰せられる可能性があります。
また3人の中の1人を特定して声援した場合は単なる助勢行為には留まらず、傷害罪の従犯としてさらに重く罰せられる可能性があります。

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【参考】

第204条(傷害)

第204条(傷害)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第205条(傷害致死)

身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

第206条(現場助勢)

前2条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

第207条(同時傷害の特例)

2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

第208条(暴行)

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

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