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強盗|罪名ガイドQ&A

強盗

強盗罪において量刑を左右する事情としては、どのようなことが考えられますか?

  • 被害額の大きさ
  • 犯行態様例えば、暴行・脅迫の程度、刃物を使用したか否か
  • 余罪の有無
  • 前科前歴の有無・回数特に同種前科の有無・回数
  • 共犯事件の場合は取り分や役割分担
  • 示談成立の有無被害者が宥恕の意思表示をしているか否か

等の事情が考慮されます。

親族間で、葬儀の場所をめぐって対立し、故人の遺体を他方が一方から強奪した場合に強盗罪になりますか?

強盗罪は成立しません。

死体を財物といえるかが問題となりますが、刑法は死体の領得を死体損壊罪として、別に処罰しているので、今回のような場合には、暴行・脅迫罪と死体損壊罪が成立することになります。

死体から臓器を取るために死体を強奪した場合に強盗罪になりますか?

強盗罪は成立しません。

臓器には財産的価値が認められるかもしれませんが、やはり特別規定として死体損壊罪が成立するにとどまります。

他人の毛髪をかつら材料とするために切り取った場合、強盗罪は成立しますか?

強盗罪が成立します。

切り離された毛髪については財物性が認められます。なお、未遂に終わった場合であっても、切り離されるべき毛髪について、財物性が認められます。

強盗罪と恐喝罪との違いは何ですか?

人の反抗を抑圧するに至らない暴行・脅迫を加え、相手方を畏怖させた場合が恐喝。
人の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫を加えた場合が強盗です。
被害者を脅す際に刃物などの凶器を使っている場合は、恐喝ではなく強盗になる可能性が高いようです。

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包丁等をつきつけ「静かにしろ」と脅迫する場合は、強盗ですか恐喝ですか?

強盗罪が成立する可能性が大きいでしょう。

財物の強取ができたか否かで既遂か未遂かは分かれますが、今回のような脅迫行為は反抗を抑圧するに至る程度のものといえます。

主人不在の家に押し入り、若い女性に対しておもちゃのピストルを突きつけ、被害者が本物のピストルと勘違いした場合は強盗ですか恐喝ですか?

強盗罪が成立する可能性が大きいでしょう。

たとえピストルがおもちゃであったとしても、ピストル様のものを突きつけられた場合に、反抗を抑圧されると考えられます。パニック状態で本物か偽物かを冷静に判断することなどできないのが通常です。

主人不在の家に押し入り、若い女性に対しておもちゃのピストルをつきつけたが、被害者が玩具だと気付いた場合は強盗ですか恐喝ですか?

強盗罪が成立する可能性が大きいでしょう。

財物の強取ができたか否かで既遂か未遂かは分かれますが、おもちゃのピストルを突きつけるという脅迫行為は反抗を抑圧する程度のものといえます。 被害者がピストルは偽物であると気付いた場合のように、相手方が現実に反抗を抑圧されていないとしても、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものであれば強盗罪が成立します(最判昭24.2.8)。

金属の靴べらを突きつけ、金を出せと脅迫する場合は、強盗ですか恐喝ですか?

強盗罪が成立する可能性があります。

実際に靴べらで人を傷つけることは困難でしょうし、冷静な状態であれば靴べらを突きつけられているという状態は抵抗できない程のものではありません。しかし、見知らぬ人に突然靴べらを突きつけられ、白光りがし先端がとがっていた場合には恐怖を抱くことは考えられます。裁判例でも、反抗を抑圧する程度の脅迫行為であるとして強盗罪の成立を認めています(東京高判昭41.9.12)。

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銀行で窓口業務に従事している女子行員に対して、暴行を加えることなく、凶器を持っているようなそぶりも見せずに、顔をにらみつけながら「金を出せ」というのは強盗ですか恐喝ですか?

強盗罪が成立する可能性が大きいでしょう。

財物の強取ができたか否かで既遂か未遂かは分かれますが、この場合の脅迫行為は反抗を抑圧するに至る程度のものといえます。けん銃、刃物等の凶器を使用した銀行強盗が、時折発生し、新聞テレビ等によって報道され、銀行員にとって大きな脅威として絶えずその念頭にあること、カウンターの外側に立っている犯人の下半身や足元の状態は分からず、その所持品については知り得ないので、相手が何らかの凶器をもっているのではないかと考え、恐怖心を抱くのは当然であるとして、強盗罪の成立が認められています(東京高判昭62.9.14)。

被害者に対して暴行・脅迫を加えましたが、被害者は抵抗しようとすれば抵抗することができたようです。しかし、脅えているようではあり恐怖心からお金を出してきました。これを取った場合にも強盗罪になりますか?

強盗罪が成立する可能性が大きいでしょう。

相手方が現実に反抗を抑圧されていないとしても、暴行・脅迫の程度が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足る程度のものであれば強盗罪が成立します(最判昭24.2.8)。

他人にぶつかって、その注意をそらしている間に財布をすり取った場合、強盗罪になりますか?

強盗罪は成立しません。

一見、暴行・脅迫を手段とするもののように見えますが、その暴行は、被害者の財布に対する注意をそらすために用いられているのであって、財布を奪うために行ったものではないので、強盗罪ではなく窃盗罪が成立します。

初めから盗むつもりではなかったけれど、殴りつけたところ、相手が背を向けてうずくまり反抗できない状態になったので、ついでに財布を奪おうと考え、取りました。強盗罪になりますか?

原則として強盗罪は成立しません。

強盗罪が成立するためには財布を奪うために暴行・脅迫をすることが必要です。今回の場合、殴った行為に暴行罪(相手が怪我をすれば傷害罪)、財布を取った行為に窃盗罪がそれぞれ成立します。

初めから盗むつもりではなかったけれど、強い口調で話しかけたところ、相手が震えていて反抗できない状態になったので、ついでに財布を奪おうと考え、殴るそぶりだけ見せて財布を奪いました。全く殴る意図はありませんし、とても反抗を抑圧するほどの暴行とはいえないものです。強盗罪になりますか?

強盗罪が成立します。

強盗罪が成立するためには、既に抵抗ができない状態であったとしても、財布を奪うための新たな暴行・脅迫が必要です。
ただし、その程度は通常の強盗罪の場合程強度のものである必要はなく、すでに作出した反抗抑圧状態を継続させる程度のもので十分です。

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強姦の目的で被害者を脅迫し、その反抗を抑圧しつつ全裸にしたところ男性であることに気づきました。強姦の意思はなくなったものの、この際、この機会を利用して金品を奪おうと考え実行した場合、強盗罪になりますか?

強盗罪は成立しません。

強盗罪が成立するためには金品を奪うための新たな暴行・脅迫が必要です。
よってこの場合、金品を取ったことについては窃盗罪が成立します。

初めから財物を取るつもりではなかったけれど、強姦したところ、相手が反抗できない状態になったので、この機会に財布を奪おうと思って取りました。この場合には強盗罪になりますか?

強盗罪は成立しません。

強盗罪が成立するためには財布を奪うための新たな暴行・脅迫が必要です。

初めから財物を取るつもりではなかったけれど、強姦したところ、相手が反抗できない状態になったので、この機会に財布を奪おうと考え、殴るそぶりだけ見せて財布を奪いました。全く殴る意図はありませんし、とても反抗を抑圧するほどの暴行とはいえないものです。強盗罪になりますか?

強盗罪が成立します。

既に被害者が抵抗できない状態であっても、強盗罪が成立するためには財布を奪うための新たな暴行・脅迫が必要です。
ただし、その程度は通常の強盗罪の場合程強度のものである必要はなく、すでに作り出した反抗抑圧状態を継続させる程度のもので十分です。

初めから財物を取るつもりではなかったけれど、強姦したところ、相手が反抗できない状態になったので、この機会に財布を奪おうと考え、金が欲しいと一言言いました。被害者は素直に応じて金を出したのでそれを受け取ってすぐに部屋を出ました。強盗罪になりますか?

強盗罪が成立する可能性が大きいでしょう。

既に被害者が抵抗できない状態であっても、強盗罪が成立するためには金を奪うための新たな暴行・脅迫が必要です。
ただし、その程度は通常の強盗罪の場合程強度のものである必要はなく、すでに作り出した反抗抑圧状態を継続させる程度のもので十分とされています。
強姦された後であれば、被害女性は強い恐怖心を感じており、強姦犯が留まっていること自体が強盗の積極的脅迫行為とも見られます。金をくれと要求したり、被害者の手から財布を奪いとったりするだけでも、新たな暴行・脅迫があったとして強盗罪になる場合が多いようです。
判例でも、同様の事案において、強盗罪の成立が認められている例が多数あります(大判昭19.11.24、最判昭24.12.24、東京高判昭37.8.30、東京高判昭47.8.24、東京高判昭57.8.6)。

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強姦の目的で暴行・脅迫をしたら、相手が失神してしまったので、財布をとりました。強盗罪になりますか?

強姦のための暴行・脅迫であって、財布を奪うための暴行・脅迫はしていません。
強盗罪が成立するためには、金を奪うための新たな暴行・脅迫が必要とされていますが、被害者が失神していた場合には、財布を奪うための新たな暴行・脅迫があったとはいえないので、強盗罪は成立しません(札幌高判平7.6.29)。

強姦の目的で暴行・脅迫をしたら、被害者が自分で財布を差し出してきたのでこれをとりました。強盗罪になりますか?

強盗罪が成立します。

強姦の被害者は極度に恐怖の状態にあるのが通常です。強姦のための暴行・脅迫であっても被害者が畏怖して金員を差し出したものを、奪ったのであれば、強盗罪となります。

銀行強盗に押し入り、偶然に居合わせた客を人質にとり、この客に対してピストルを向けて、銀行員に対して金銭を要求した場合、強盗罪が成立しますか?

強盗罪が成立します。

暴行・脅迫は、強盗の目的を遂行するための障害となる者に対して加えられれば足ります。財物の所有者や所持者に直接暴行・脅迫したのでなくても強盗罪は成立します。

向こうから歩いてくる人に、ぶつかりざまにかばんをひったくりました。強盗罪が成立しますか?

強盗罪は成立しません。

ぶつかりざまに単純にひったくる行為は反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫が加えられていないので強盗罪は成立しません。
かばんを奪ったことについては窃盗罪が成立します。

オートバイで後から近づいていき、追い抜きざまに歩行者のかばんをひったくりました。強盗罪が成立しますか?

強盗罪が成立します。

自動車やオートバイ等を利用して走りながら奪う場合には、手放さなければ生命・身体に重大な危険をもたらす恐れのある暴行であって、強盗となりえます(最判昭45.12.22)。

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オートバイで後から近づいていき、追い抜きざまに歩行者のかばんをひったくりました。その勢いで被害者が転倒し負傷しました。どのように取り扱われますか。

強盗致傷罪が成立します。

オートバイでひったくることが前の事例の通り強盗罪となり、強盗の際に怪我を負わせたことによって、強盗致傷罪が成立します(東京高判昭51.5.27、東京高判昭52.5.26)。

強盗の目的で暴行・脅迫を加えて、被害者の反抗を抑圧し、財物を奪った場合は通常の強盗と聞きました。では、窃盗をしようと住居に侵入し、タンスをあさっていたところ、家人に発見されたので、居直ってナイフを見せ、金を出せと暴行・脅迫を加えて家人がかばんから出した財布を奪った場合、強盗罪が成立しますか?

強盗罪が成立します。

このような場合は「居直り強盗」と呼ばれ、通常の強盗罪と同様に処罰されます。

窃盗をしようと住居に侵入し、タンスの中から財布を見つけ、これを持って家を出ようとした際に、家人に発見されました。家人が財布を取り返そうとしたので、取り返されまいと暴行を加えました。強盗罪が成立しますか?

事後強盗罪が成立します。

事後強盗罪(刑法第238条)は強盗罪(刑法第236条)とは異なる条文に規定されていますが、強盗罪と同様に処罰されます。

窃盗をしようと住居に侵入し、タンスの中から財布を見つけ、これを持って家を出ようとした際に、家人の通報で警察官が駆け付けてきました。逮捕されまいとして、警察官に対して暴行を加えました。強盗罪が成立しますか?

事後強盗罪が成立します。

事後強盗は、逮捕を免れたり、財物を取り返されるのを防ぐ等の目的で暴行・脅迫が行われる場合に成立します。被害者に対する暴行・脅迫に限られません。
事後強盗も通常の強盗罪と同様に処罰されます。

強盗の犯行後30分経過した後に、現場から1㎞離れた所で、被害者に奪った財布を取り返されそうになったので暴行を加えました。強盗罪は成立しますか?

事後強盗罪が成立します。

犯行から何分後・現場から何kmまでなら成立するといった明確な基準はありませんが、今回のような場合に裁判所は事後強盗罪の成立を認めています(広島高判昭28.5.27)。

被害者宅で指輪を盗んだ後天井裏に潜んでいたところ、3時間後に帰宅した被害者に気付かれ警察に通報されてしまいました。駆けつけた警察官に対して暴行を加えた場合、3時間も経過しているので強盗罪にはなりませんか?

事後強盗罪が成立します。

時間は経過していますが、現場から移動していないので窃盗の機会の継続中と判断されるでしょう(最決平14.2.14、千葉地判昭53.3.16)。

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留守宅に侵入しリビングに置いてあった財布を盗んだ後、いったんは近くの公園まで移動したが、もっと他の部屋も探せばさらに金目のものが手に入るかもしれないと考え、犯行から30分後、再度、同一住宅に侵入窃盗を行う意図で玄関扉を開けました。しかし、帰宅していた家人が気づいて追ってきたため、ナイフで脅して逃走したという場合、強盗罪は成立しますか?

事後強盗罪は成立しません。

被害者から窃盗犯人への追及が継続していたか否かが一つのポイントとなります。今回の場合には、最初の窃盗と次の住居侵入が継続しているとはいえず、窃盗の機会の継続中に行われた脅迫ということはできないので、事後強盗罪は成立しません。
留守宅に侵入したことは住居侵入罪、財布を盗んだことは窃盗罪が成立します。

被害者のポケットから財布を盗んだところ、被害者に気付かれてしまい、その場で被害者によって現行犯逮捕をされました。警察に通報されましたが、警察官が来るまでの間に被害者に対して暴行を加えた場合、強盗罪が成立しますか?

事後強盗罪が成立します。

既に逮捕済みですので、逮捕を免れるためのという要件に該当しないようですが、未だ警察官に引き渡される前ですし、逃走可能であるような状況下ですので、このような場合になお逮捕を完遂することを免れようと暴行を加えたものとして事後強盗罪の成立が認められます。

被害者に現行犯逮捕され警察官に引き渡された後、派出所へ同行途中に暴行を加えた場合、強盗罪が成立しますか?

事後強盗罪が成立します。

既に警察官に引き渡されているものの、未だ完全に身柄を拘束したわけではなく逃走が容易であるといえます。
このような場合になお逮捕を完遂することを免れようと暴行を加えたものとして、事後強盗罪の成立が認められます。

窃盗をした現場から200mしか離れていない路上で、たまたま遭遇した警官から職務質問をされたので、暴行を加えて逃げました。この場合、強盗罪は成立しますか?

強盗罪(事後強盗罪)は成立しません。

強盗罪が成立するためには窃盗の機会に暴行が加えられる必要がありますが、今回の場合たまたま遭遇した警官の職務質問という全く偶然の事情であって、窃盗の機会の継続中になされた暴行とはいえません。窃盗罪と暴行罪のみが成立します。

窃盗犯人が、進行中の電車内で現行犯人として車掌に逮捕され、約5分経過後到着した駅のホームを連行されている際に逃走を企ててその車掌に暴行した場合、強盗罪になりますか?

事後強盗罪が成立します。

現行犯逮捕の場所と、暴行を加えた場所は電車で5分移動しているので距離的な隔たりはあります。しかし、このような場合の電車の移動は状況の変化がないので窃盗の機会の継続中といえます。

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被害者宅に侵入し金品を盗んで自宅に戻りました。その後、家人に犯行が見られていたかもしれないと不安になり、家人の殺害を決意し、再び被害者方に到り家人を殺害したという場合、強盗罪になりますか?

強盗罪(事後強盗罪)は成立しません。

窃盗と殺害は別の機会と見ることができ、窃盗の機会の継続中とはいえません。
被害者宅に侵入したことには住居侵入罪、金品を盗んだことには窃盗罪、家人の殺害には殺人罪が成立します。

タクシーの乗客が運転手を殺害して逃走した場合、強盗罪は成立しますか?

強盗殺人罪が成立します。

金銭や指輪など財物だけでなく、財産上の利益に対しても強盗罪が成立します。なお、この場合には強盗利得罪(2項強盗罪)とされます(刑法第236条2項)が、強盗罪と何ら変わるところはありません。
タクシーの乗客が運転手を殺害して逃走した場合、乗車代金を相続人が相続するとしても、実際には乗客を探し出して請求するのは困難です。よって、犯人は財産上の利益を取得したと言えますので強盗利得罪(2項強盗罪)が成立します(大判昭6.5.8)。

無銭飲食者が店主の首を絞め失神させて逃走した場合、強盗罪は成立しますか?

強盗罪が成立します。

店主が、後日になって食い逃げ犯を捕まえるのは困難です。犯人は財産上の利益を取得したと言えますので強盗利得罪(2項強盗罪)が成立します。

債務者が、債務の支払を免れる目的で、債権者を殺害しました。借用証書はなく、当事者の他に債務の詳細を知る者はいません。強盗罪は成立しますか?

強盗殺人罪が成立します。

債権者が死亡すれば被告人以外にその詳細を知る者のない状況で債権者を殺害した場合、債務の履行を免れて財産上の利益を取得したと言えるので強盗利得罪(2項強盗罪)が成立します。

債務者が、債務の支払を免れる目的で、債権者を殺害しました。契約書が存在し、債権者の相続人が同居していて、債権者の金銭のやりとりについての詳細は全て把握しています。強盗罪は成立しますか?

強盗殺人罪は成立しません。

相続人において後日債権を請求することが可能であるので、このような場合には、財産上の利益の取得は否定されます。

債務者が、債務の支払を免れる目的で、債権者を殺害しました。借用証書はなく、相続人はいますが遠方に住んでおり債権者とは長年音信不通になっています。強盗罪は成立しますか?

強盗殺人罪が成立します。

相続人がいても債務者である犯人を把握して債務の弁済を請求することが著しく困難になったときは、財産上の利益を得たといえます(大阪高判昭59.11.28)。

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債務者が、債務の支払を免れる目的で、債権者を殺害しました。相続人はいますが遠方に住んでおり、債務状況の把握もしていません。ただし、債権者の遺品を調べれば、いずれ債務状況については明らかになるので、支払請求が不可能になったとはいえません。強盗罪は成立しますか?

強盗殺人罪が成立します。

支払請求が著しく困難になったとまではいえない場合であっても、履行期の到来又は切迫等のため、債権者側による速やかな債権行使を相当期間不可能にし、相当期間の支払猶予を受けたのと実質上同視できるときには、財産上の利得を得たと解すべきとされています(大阪高判昭59.11.28)。

相続人が被相続人を殺害した場合、強盗罪は成立しますか?

強盗殺人罪は成立しません。

相続人が被相続人を殺害して、財産の承継を受ける場合、相続は人の死亡を唯一の原因として発生するもので、任意の処分の観念を入れる余地がないから、財産上の利益の取得は否定されます(東京高判平元.2.27)。
殺人罪が成立します。

覚せい剤の売人から覚せい剤を受け取りましたが、代金の支払いを免れるために暴行・脅迫を加えました。強盗罪になりますか?

強盗罪が成立します。

不法な原因で給付した金銭については、民法上返還を求めることができません(民法708条)。覚せい剤の代金はこれに当たります。
しかし、刑法上は犯罪の成立が認められます。
今回の場合、代金の支払いを免れているため強盗利得罪(2項強盗罪)が成立します。

暴行・脅迫により白タクの運賃を免れました。しかし白タクは違法ですから強盗罪は成立しないのではありませんか?

強盗罪が成立します。

不法な原因で給付した金銭については、民法上返還を求めることができません(民法708条)。白タクの運賃はこれに当たります。
しかし、刑法上は犯罪の成立が認められます。
今回の場合、代金の支払いを免れているため強盗利得罪(2項強盗罪)が成立します。

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【参考】

第236条(強盗)

第236条(強盗)

1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

第238条(事後強盗)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。/p>

第239条(昏睡強盗)

人を昏睡させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。

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強盗致死傷罪

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、
死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致死傷罪の傷害はどの程度のものをいいますか?

軽微なものは含まれず、少なくとも社会通念上、一般に医師の治療を要する程度の傷害でなければならないと考えられています。

被害者に「金を出せ」といって日本刀を突き付けたところ、被害者がその日本刀にしがみついて救いを求め、犯人が刀を収めようとしてその刀を引いたことによって被害者の手掌等に傷害を与えてしまいました。傷を負わせるつもりは全くありませんでした。強盗致傷罪が成立しますか?

強盗致傷罪が成立します。

強盗をしたことは認めますが、被害者に怪我を負わせるつもりはありませんでした。しかし、被害者が抵抗したために傷害の結果が生じてしまいました。強盗致傷罪になるのですか?

強盗致傷罪になる可能性が大きいです。

判例では、歩行者の背後から自動車で近づき、追い抜きざまに歩行者のかばんをひったくったところ、歩行者がこれを奪われまいとして離さなかったため、歩行者を引きずって路上に転倒させて傷害を負わせた場合において、強盗致傷罪が成立するとされています(最判昭45.12.22)。

車に監禁して脅迫し、その結果被害者が走っている車から飛び降りて怪我を負った場合には強盗致傷罪が成立しますか?

強盗致傷罪が成立します。

同様の事案である福岡地判昭60.11.15では、強盗致傷罪の成立が認められています。

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【参考】

第240条(強盗致傷)

第240条(強盗致傷)

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

第241条(強盗強姦及び同致死)

強盗が女子を強姦したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。

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